賃貸マンションやアパートを借りる際、賃料とは別に「共益費(きょうえきひ)」や「管理費」が必要になることがあります。「何に使われているのか分からない」「金額は妥当なのか」「共益費なし物件の方が得なのか」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
共益費の使い道について明確なルールはなく、実務上は貸主・管理会社の裁量で決められている部分が大きいのが実態です。この記事では、共益費の意味・管理費との違い・相場・共益費なし物件の見方・契約前の確認ポイントまで、私の仲介実務の経験も交えて解説します。

最終更新日:2026年07月04日
共益費とは?
共益費とは、マンションやアパートなどの共用部分を維持・管理するために支払う費用のことです。読み方は「きょうえきひ」で、専有部分である自分の部屋ではなく、入居者全体が利用する建物部分の維持管理に使われる費用と考えると分かりやすいです。
具体的には、以下のような費用が共益費に含まれることがあります。
- エントランス・廊下・階段などの清掃費
- 共用部分の照明や電気代
- エレベーターの点検・保守費用
- 給水ポンプなどの設備維持費
- 消防設備の点検費
- 宅配ボックスやオートロックなどの共用設備の維持費
- ゴミ置き場の管理費
- 管理会社による建物管理業務の費用
特にエレベーターのあるマンションでは点検・保守に費用がかかるため、エレベーターのない低層物件より共益費が高くなる傾向があります。オートロック・防犯カメラ・宅配ボックスなどの設備が充実している物件も、共益費が高めに設定されることがあります。
「共益費は何に使われているのですか」というご質問は、私もお客様からよくいただきます。実は、共益費の使途について法律で定められた明確なルールはありません。共用部の清掃や修繕にかかる費用が、必ず共益費だけから支払われなければならないという決まりもなく、実際には賃料収入も含めた全体の中から充当されているケースもあります。「共益費=共用部専用の予算」と厳密に区分されているわけではない、という前提で捉えておくとよいでしょう。
共益費と管理費の違い
共益費と管理費は、実務上はほぼ同じ意味で使われています。どちらも建物の共用部分を維持管理するための費用を指しており、入居者の立場から見ると大きな違いはありません。
一般的な賃貸マンションやアパートでは「共益費」という表記が使われることが多く、分譲マンションを賃貸に出している物件では「管理費」と表記される傾向があります。分譲マンションでは、所有者が管理組合に対して管理費や修繕積立金を毎月支払っているため、一室を賃貸として貸し出す場合も、募集条件で「管理費」という表記がそのまま使われることがあります。
共益費か管理費かという名称の違いにこだわる必要はありません。それよりも、金額と毎月の総支払額を確認することの方が重要です。
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共益費と賃料の違い|なぜ分けて表示するのか
賃料は、主に自分が使用する専有部分に対する使用料です。一方、共益費はエントランス・廊下・階段・エレベーター・ゴミ置き場など、入居者全体が利用する共用部分の維持管理費という位置づけになります。
ただし実務上は、賃料と共益費が原価ベースで厳密に分けて管理されているとは限りません。貸主から見れば、賃料と共益費を合わせた金額が毎月の収入です。そのため、物件によっては賃料を安く見せるために共益費を高めに設定しているケースもあります。
例えば、賃料70,000円・共益費10,000円の物件と、賃料78,000円・共益費2,000円の物件は、月額合計はどちらも80,000円で同じです。ポータルサイトでは賃料部分が目立ちやすいため、前者の方が安く見えることがありますが、実際の支払額は変わりません。
多くのポータルサイトでは、ユーザーが賃料の上限を設定して物件を検索する仕組みになっています。そのため、賃料を低めに設定し共益費を別立てにすることで、検索結果に表示されやすくなる場合があります。「管理費・共益費込み」の条件でも検索することで、実際の支払額に近い条件で物件を比較できます。
物件を比較するときは、賃料だけでなく「賃料+共益費」の月額合計で見ることが大切です。
共益費の相場
共益費の金額は、建物の規模・設備内容・管理体制によって異なります。名古屋市内の一般的な賃貸物件では、エレベーターの有無によって水準が変わることが多いです。
- エレベーターなしの物件:月額3,000〜5,000円程度
- エレベーターありの物件:月額6,000〜12,000円程度
- 設備が充実したマンション:月額10,000円以上になることもある
エレベーター・オートロック・宅配ボックス・防犯カメラ・機械式駐車場・管理人巡回などがある物件では維持管理費がかかるため、共益費も高くなりやすいです。階段のみの小規模アパートや共用設備が少ない物件では、共益費が低めに設定される傾向があります。
共益費が高いから管理が良い、安いから管理が悪い、という単純な判断はできません。金額だけでなく、建物の設備内容や共用部分の管理状態と合わせて判断することが重要です。
共益費に含まれる費用・含まれない費用
共益費に含まれる費用は物件によって異なります。一般的には、共用部分の清掃費・電気代・設備点検費・ゴミ置き場の管理費などが含まれます。
一方で、すべての月額費用が共益費に含まれているわけではありません。次の費用は共益費とは別に発生することがあります。
- 町内会費・CATV費
- インターネット使用料(「無料」表記でも別途費用が必要な場合あり)
- 24時間サポート費・月額保証料
- 駐輪場代・バイク置場代・駐車場代
特に注意したいのはインターネット使用料と24時間サポート費です。「インターネット無料」と記載されている物件でも、別途月額費用が必要な場合や、逆に共益費に含まれている場合があります。当社では、共益費以外に必要となる月額費用もすべて含めた見積書を作成し、契約前に総額を確認していただけるようにしています。
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共益費なし物件・戸建て賃貸の共益費
一部の物件では「共益費なし」「管理費なし」として募集されていることがあります。共益費なしと聞くと毎月の負担が少ないように感じるかもしれませんが、必ずしも割安とは限りません。多くの場合、共益費相当分が賃料に含まれているだけで、実質的な支払額は他の物件と大きく変わらないことがあります。
例えば、賃料75,000円・共益費なしの物件と、賃料70,000円・共益費5,000円の物件は、月額合計はどちらも75,000円で同じです。共益費の有無よりも、月額総額と物件内容のバランスで判断した方が正確です。
私の経験上、戸建て賃貸では共益費の設定自体がない物件がほとんどです。マンションやアパートのような共用のエントランス・エレベーター・共用廊下といった維持管理が必要な設備がないためです。ただし、戸建てであっても外構や共用通路がある場合は、共益費相当の費用が設定されることもあります。
共益費なし物件の中には、共用部分の管理が簡素な物件もあります。特に小規模アパートや個人所有の物件では、清掃頻度や管理体制が物件ごとに異なるため、内見時に共用部分の状態を実際に確認しておくことが大切です。
共益費は交渉できる?
共益費は、賃料と比べると交渉が難しい費用です。共用部分の維持管理に必要な費用という位置づけがあるため、個別の入居者だけ下げることが難しい面があります。月額費用を下げたい場合は、共益費よりも賃料の交渉をする方が現実的です。賃料を下げてもらえれば、敷金・礼金・仲介手数料・更新料などが賃料を基準に計算される場合にもメリットがあります。
転勤にともなう法人契約では、「賃料は会社負担、共益費は個人負担」という規定の会社が一定数あります。この場合、入居者から「共益費だけでも交渉して下げてもらえないか」と相談を受けることがありますが、私の経験上、交渉しても共益費が下がることはほとんどありません。
また、「共益費を賃料に上乗せしてもらえないか」という要望も時々いただきます。これに対応してくれる物件もありますが、あくまで貸主・管理会社の判断次第です。会社によっては「実際の募集条件通りかどうか」を確認される場合もあり、形式だけ賃料に振り替えると後から会社規定との整合性で問題になる可能性もあるため、私としては積極的にはおすすめしていません。事前に仲介会社を通じて確認することをおすすめします。
契約前に確認しておきたいポイント
契約前には、共益費の金額だけでなく毎月発生する費用の内訳をすべて確認しておくことが大切です。
- 賃料+共益費の月額合計を確認する
- 町内会費・CATV費・インターネット使用料・24時間サポート費・月額保証料などの有無を確認する
- 駐輪場・バイク置場・駐車場が別途必要かを確認する
- 敷金・礼金・仲介手数料・更新料の計算基準に共益費が含まれるかを確認する
- 内見時にエントランス・廊下・ゴミ置き場などの共用部分の状態を確認する
共益費は安ければ良い、高ければ悪いという費用ではありません。建物の設備・管理状態・その他の月額費用を含めた総支払額で判断することが大切です。
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よくある質問
まとめ:共益費は名称より総額と管理状態で判断する
- 共益費(きょうえきひ)は、建物の共用部分を維持・管理するために毎月支払う費用
- 共益費と管理費は実務上ほぼ同じ意味。名称の違いより金額と総額の確認が重要
- 賃料を安く見せるために共益費を高めに設定している物件があるため、必ず月額合計で比較する
- 名古屋の相場はエレベーターなしで月額3,000〜5,000円、エレベーターありで6,000〜12,000円程度
- 共益費なし物件は割安とは限らない。賃料に含まれているだけのケースが多い
- 戸建て賃貸は共益費の設定自体がないことが多い
- 共益費は交渉で下がりにくい費用。月額を下げたい場合は賃料交渉の方が現実的
- 共益費の使途に法的なルールはなく、共用部の管理状態を内見で確認することが最も確実な判断材料になる
