賃貸の仲介手数料とは?
相場・上限・誰が払うのかを不動産会社が解説

賃貸の仲介手数料は、不動産会社が物件探しから契約までを仲立ちした対価として支払う費用です。法律上の上限は「賃料1か月分+消費税」で、原則は貸主・借主が半分ずつ負担します。ただし実際には借主が1か月分を負担するケースが多く、無料や半額にしている会社も存在します。

この記事では、仲介手数料が何の対価なのか、上限と相場、誰がいつ支払うのか、そして無料・半額になる仕組みと法的な注意点までを、1,000件以上の賃貸仲介に携わってきた立場からわかりやすく解説します。

仲介手数料の説明を受けるイラスト

最終更新日:2026年6月30日

仲介手数料は不動産会社に支払う対価

仲介手数料とは、貸主と借主の間に立って契約をまとめた不動産会社(宅地建物取引業者)に対して支払う報酬です。具体的には、物件の紹介、内見の案内、入居審査の手続き、賃貸借契約書や重要事項説明書の作成、契約手続きの調整といった一連の「媒介業務」への対価にあたります。

仲介手数料は成功報酬です。契約が成立してはじめて発生するため、問い合わせや内見をしただけで請求されることはありません。逆に、貸主が自ら募集している物件(自主管理物件など)で不動産会社を介さずに契約する場合は、そもそも仲介手数料は発生しません。

ポイント
  • 仲介手数料=物件探しから契約までの媒介業務への報酬
  • 成功報酬なので、契約が成立しなければ支払う必要はない
  • 不動産会社が自ら貸主となる物件では発生しない

上限は「賃料1か月分+消費税」

仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法第46条と、これに基づく国土交通省の告示(昭和45年建設省告示第1552号)で定められています。貸主・借主の双方から受け取れる報酬の合計額は、賃料1か月分+消費税が上限です。会社がこれを超えて受け取ることは法律で禁止されています。

さらに居住用建物の場合、依頼者の一方(借主または貸主)から受け取れる金額は、媒介の依頼を受けるにあたって承諾を得ている場合を除き、賃料0.5か月分+消費税が上限とされています。つまり法律上の原則は「貸主から0.5か月分、借主から0.5か月分」という折半です。借主から1か月分を受け取るには、契約手続きに入る前の段階で借主の承諾を得ておく必要があります。

家賃8万円の物件を例にすると、上限額は次のようになります。

0.5か月分の場合
44,000円
(40,000円+消費税10%)
1か月分の場合
88,000円
(80,000円+消費税10%)

賃料には管理費・共益費を含めずに計算します。なお、複数の不動産会社が取引に関わった場合でも、会社全体で受け取れる報酬の合計が賃料1か月分+消費税を超えてはならないという点は変わりません。

仲介手数料の上限の根拠は、国土交通省の公式ページで確認できます。

🔗 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(告示)

相場は賃料1か月分+消費税が中心

法律上の上限が賃料1か月分+消費税であるため、多くの不動産会社はこの上限いっぱい、つまり賃料1か月分+消費税を仲介手数料として設定しています。一方で、半額(0.5か月分)や無料にしている会社もあります。

私の経験上、仲介手数料を半額や無料にしている会社は、その金額をホームページや物件情報に明記しているのが通常です。逆に金額の記載が見当たらない場合は、1か月分+消費税であることがほとんどです。物件を問い合わせる前に、その会社の仲介手数料がいくらなのかを確認しておくと、初期費用の見通しが立てやすくなります。

注意

「相場だから」と1か月分を当然のものとして考える必要はありません。同じ物件でも、依頼する不動産会社によって仲介手数料は0円〜1か月分まで変わります。家賃や立地が同じなら、仲介手数料の差がそのまま初期費用の差になります。

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支払うのは原則として借りる側

仲介手数料は、原則として借りる側(借主)が支払います。物件を探して契約する人が、媒介してくれた不動産会社に支払うという形です。

ただし、貸主が仲介手数料を負担するケースもあります。空室を早く埋めたい物件などでは、貸主が不動産会社に対して募集の対価(広告料や手数料)を支払っていることがあり、その場合は借主の負担を軽くできる余地が生まれます。当社では、貸主から手数料をいただける物件については、借主から仲介手数料を原則いただいていません。

ポイント
  • 仲介手数料は原則として借主が負担する
  • 貸主が手数料を負担する物件もある
  • 当社では貸主から手数料をいただける場合、借主の仲介手数料は原則無料

支払うタイミングは初期費用とあわせて

仲介手数料を支払うタイミングは、敷金・礼金や前家賃など、契約に必要な初期費用をまとめて支払う際が一般的です。流れとしては、入居の申し込み・審査を経て、重要事項説明を受けたあとに初期費用とあわせて支払うケースが多くなります。

注意したいのは、契約内容の説明もないまま仲介手数料を請求してくる会社です。重要事項説明は、契約条件を借主が理解したうえで契約するために行われる大切な手続きです。説明の前に手数料の支払いだけを急がせるような対応をする会社には、慎重になったほうがよいでしょう。

注意

重要事項説明や契約内容の説明より先に仲介手数料の支払いを求められた場合は、いったん立ち止まり、何の費用なのか・金額の内訳はどうなっているのかを確認しましょう。

仲介手数料は交渉しやすい費用

仲介手数料は、賃貸契約でかかる費用の中でも特に交渉しやすい費用です。家賃や敷金・礼金が貸主の意向で決まるのに対し、仲介手数料は不動産会社の報酬として会社ごとに設定されているため、見直しの余地が生まれやすいからです。

私も以前、仲介手数料をいただく不動産会社に勤めていたことがありますが、お客様から最も多く受けた質問が「仲介手数料は安くならないのですか?」というものでした。それだけ、借りる側にとって関心の高い費用だということです。

交渉に応じてもらいやすいのは、貸主から手数料(募集の対価)を受け取れる物件です。会社側に貸主からの収入があるぶん、借主の手数料を下げても成り立つため、減額や無料に応じてもらえることも多くなります。逆に、貸主から報酬が出ない物件や、その会社しか扱えない専任物件では、交渉が難しいこともあります。

ポイント
  • 交渉するなら申し込みの前に。申込後は手続きが進み、交渉しにくくなる
  • 「他社ではこの金額でした」と具体的な見積もりを根拠にすると現実的な交渉になる
  • 理由を示さず値引きだけを求める・横柄な態度をとる、といった進め方は逆効果

ただし、交渉に応じてもらえるかどうかは会社や物件によって異なり、必ず下がるとは限りません。私の経験上、最初から仲介手数料が無料・半額の不動産会社を選んでしまえば、交渉する手間そのものがいりません。当社では、気になる物件があるかどうかの問い合わせだけでも歓迎しています。

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無料・半額になるのは貸主が負担する物件

仲介手数料を無料や半額にできるのは、基本的に貸主側から手数料(募集の対価)を受け取れる物件です。貸主から報酬を得られる場合、借主からの仲介手数料を減らしたり、ゼロにしたりできます。

仲介手数料無料とは?仕組みと、できる理由・できない理由、デメリットはあるのかを不動産会社が解説

ここで知っておきたいのが、貸主から手数料を受け取りながら、借主からも1か月分を満額受け取っている会社が少なくないという点です。前述のとおり、居住用建物では貸主・借主の双方から受け取れる報酬の合計は賃料1か月分+消費税が上限です。貸主から受け取ったうえで、借主から事前の承諾なく0.5か月分を超えて受け取ると、上限の規定に抵触する可能性があります。

実際、借主が支払った1か月分の仲介手数料について、事前の承諾がなかったとして0.5か月分の返還が認められた裁判例(東京高裁 令和2年1月14日判決)もあります。この判決では、賃料0.5か月分が一方からの報酬の原則であり、それを超えて受け取るには契約手続きに入る前の段階で承諾を得る必要がある、という考え方が示されました。

注意

「貸主からも借主からも満額受け取る」運用は、合計が賃料1か月分+消費税を超えれば法令違反となり、借主から0.5か月分を超えて受け取る場合には事前の承諾が必要です。借主の立場では、はじめから仲介手数料が明示されている会社を選ぶほうが安心です。

名古屋における仲介手数料

名古屋では、仲介手数料無料でご案内できる物件が多いのが特徴です。当社が取り扱う物件でも、おおよそ8割ほどは仲介手数料無料でご紹介できています。

その背景には、名古屋の賃貸市場の事情があります。名古屋は入居を希望する人の数に対して物件の供給が多く、空室を抱える貸主が早期の入居を求めて、不動産会社に募集の対価(手数料)を支払うケースが多い地域です。会社側に貸主からの報酬があれば、借主から仲介手数料をいただかずに契約を成立させられるため、結果として無料でご案内できる物件が多くなります。

ただし、すべての物件が無料になるわけではありません。貸主から報酬が出ない物件では、仲介手数料が発生することもあります。当社では、そうした場合も事前に手数料の有無と金額を明確にお伝えしています。

気になる物件が仲介手数料無料の対象かどうかは、お問い合わせいただければその場で確認できます。物件がまだ絞り込めていない段階のご相談でも構いませんので、まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ

  • 仲介手数料は、物件探しから契約までを仲立ちした不動産会社への成功報酬
  • 上限は貸主・借主の合計で賃料1か月分+消費税。原則は双方0.5か月分ずつ
  • 借主から1か月分を受け取るには、手続きに入る前の段階での承諾が必要
  • 支払いは敷金・礼金などの初期費用とあわせて、重要事項説明のあとが一般的
  • 無料・半額の会社はその金額を明記している。記載がなければ1か月分のことが多い
  • 仲介手数料は交渉しやすい費用だが、最初から無料・半額の会社を選ぶほうが手間がない
  • 名古屋は物件の供給が多く、貸主負担で仲介手数料無料にできる物件が多い

よくある質問(FAQ)

Q. 契約をキャンセルしたら仲介手数料は返ってきますか?
仲介手数料は成功報酬のため、賃貸借契約が成立する前にキャンセルした場合は、原則として発生しません。一方、契約成立後の解約では、媒介業務が完了しているため返金されないのが一般的です。申し込みから契約までのどの段階かによって扱いが変わるので、キャンセルの可能性がある場合は事前に確認しておくと安心です。
Q. 家賃は非課税なのに、仲介手数料には消費税がかかるのですか?
居住用住宅の家賃そのものは消費税が非課税ですが、仲介手数料は不動産会社が提供するサービスの対価のため、消費税の課税対象になります。そのため「賃料1か月分+消費税」が上限となり、家賃8万円なら1か月分の上限は88,000円です。
Q. 「仲介手数料無料」と「半額」では、どちらがお得ですか?
仲介手数料だけを比べれば無料のほうが負担は軽くなります。ただし、初期費用には礼金・保証会社利用料・室内消毒費・鍵交換費などさまざまな項目があり、仲介手数料が無料でも他の費用が高ければ総額で逆転することもあります。仲介手数料だけでなく、初期費用の見積もり全体で比較するのがおすすめです。
Q. 大家さんと直接契約すれば仲介手数料はかかりませんか?
貸主が自ら募集している物件で、不動産会社を介さずに契約できる場合は仲介手数料は発生しません。ただし、市場に出ている賃貸物件の多くは不動産会社が募集を担っており、直接契約ができる物件は限られます。仲介を通すことで、契約内容のチェックや重要事項説明といった保護が受けられる点も踏まえて検討するとよいでしょう。

栗田伸裕のプロフィール写真
執筆者
栗田 伸裕

株式会社マチラボ 代表取締役

1級FP技能士
宅地建物取引士
マンション管理士
賃貸不動産経営管理士

これまで1,000件以上のお部屋探しをサポートしてきた賃貸仲介の実務経験をもとに、賃貸契約や初期費用、退去費用など賃貸に関する情報をわかりやすく解説しています。1級ファイナンシャルプランナーおよび宅地建物取引士としての知識を活かし、家賃だけでなく初期費用や更新費用、退去費用なども含めた「総合的な住居コスト」を意識したお部屋探しのアドバイスを行っています。また、名古屋出身で名古屋の賃貸市場やエリア特性にも精通しており、地域事情を踏まえた現実的で正確な情報提供を心がけています。