賃貸物件を探していると、間取り図に「エアコンなし」と記載された物件に出会うことがあります。名古屋の夏は最高気温が39℃を超える日もあり、エアコンなしで夏を乗り切ることは健康上のリスクを伴います。「エアコンなし物件は絶対NG?」「自分で取り付けられる?」と疑問を持つ方も多いはずです。
この記事では、エアコンなし物件の実態・設置条件の確認方法・費用の目安・退去時のルールまで、名古屋で1,000件以上の賃貸仲介を経験した立場から詳しく解説します。

最終更新日:2026年05月24日
賃貸物件のエアコン事情|名古屋の実態
賃貸物件のエアコン設置状況は、間取りによって大きく異なります。名古屋では1Kやワンルームのほぼすべての物件にエアコンが標準設置されていますが、2LDK以上の広い間取りになると、エアコンが付いていない居室が存在する物件は珍しくありません。
理由はシンプルで、広い間取りになるほどエアコンの設置台数が増え、オーナーの初期コストが上がるからです。「リビングだけ設置、寝室は入居者負担で」というパターンも現場では多く見られます。
- 1K・ワンルーム:ほぼ全物件にエアコン設置済み
- 2LDK以上:リビングのみ設置、個室はなし、という物件が珍しくない
- 古い物件・戸建て賃貸:全室エアコンなしのケースもある
「エアコンなし」表記なのに設置されている場合は残置物の可能性
物件の募集条件上は「エアコンなし」と記載されているにもかかわらず、内見に行ったら室内にエアコンが設置されていることがあります。このような場合、前の入居者が置いていった残置物扱いのエアコンである可能性が高いです。
残置物のエアコンは、故障しても修理・交換の責任はオーナーや管理会社にはなく、入居者自身が対応しなければならないのが基本です。「使えると思っていたのに壊れた」というトラブルが起きやすいため、必ず内見・申込の段階で不動産会社に確認しておきましょう。
残置物エアコンは契約上「設備」ではないため、故障時の修理義務はありません。「使えるから大丈夫」と思って入居したら翌夏に壊れた、というケースはよくあります。築年数が古い残置物エアコンは特に注意が必要です。
名古屋の夏はエアコンなしでは生きていけない
エアコンなし物件を検討するうえで、まず知っておかなければならないのが名古屋の気候の過酷さです。
名古屋は「三大都市圏で最も暑い都市」として知られており、夏の最高気温が39℃に達する日も近年では珍しくなくなっています。2025年8月には最低気温が28.8℃と全国一番の高温でスタートした日もあり、熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上)が続く期間も長くなっています。地球温暖化とヒートアイランド現象が重なり、名古屋の夏は年々厳しさを増しています。
名古屋市は公式サイトでも「室内では昼間でも夜間でも、無理せずエアコン・扇風機を利用しましょう」と呼びかけており、熱中症特別警戒アラート発表時にはクーリングシェルターを開放する体制を取っています。
名古屋の夏は単に「暑い」ではなく、熱中症による死亡リスクが現実として存在します。特に高齢者・乳幼児・ペットがいる家庭では、エアコンは生命維持に直結する設備です。1K・ワンルームでエアコンなし物件は、名古屋では避けることを強くおすすめします。
なお、エアコンは夏の冷房だけでなく、冬の暖房・湿度管理にも欠かせない設備です。名古屋の冬は乾燥しやすく、気温が0℃以下になる日もあるため、冷暖房両方の観点からエアコンの有無は重要な確認事項です。
エアコンなし物件を検討する前に確認すべき5つの条件
エアコンなし物件を内見する際、「後から自分で設置できるか」を必ず確認してください。設置できない構造の物件に入居してしまうと、エアコンを付けることができず大変な思いをします。以下の5点をチェックしましょう。
| 確認項目 | チェックポイント |
|---|---|
| ① 配管穴(スリーブ) | 壁にエアコン用の配管穴があるか。穴がない場合は新たに開口工事が必要で、貸主の許可と費用が必要になる |
| ② エアコン専用コンセント | エアコン用の専用コンセント(通常、壁の高い位置にある)が設置されているか。なければ電気工事が必要 |
| ③ コンセントの電圧(100V / 200V) | 14畳以上の広い部屋では200V電源が必要な機種が多い。専用コンセントがあっても100Vか200Vかを確認する |
| ④ 室外機の置き場 | ベランダや共用廊下に室外機を置けるスペースがあるか。スペースがない場合は設置不可になることも |
| ⑤ 貸主・管理会社の許可 | エアコンの設置には貸主の事前許可が必要。設備の追加や壁への穴開けを伴う場合は必ず書面で許可を取る |
まず配管穴とエアコン専用コンセントの有無を確認し、両方揃っている場合は設置の可能性が高いです。次にベランダや廊下の室外機スペースを確認し、管理会社または貸主に設置許可を書面で確認する流れが基本です。
設置できない物件もある
マンションの構造や管理規約によっては、エアコンの設置自体が認められていない物件もあります。特に古いマンションや一部のデザイナーズ物件では、室外機置き場がない・配管経路が確保できないなどの理由で設置不可のケースがあります。「エアコン設置不可」の物件を夏に借りることは現実的ではないため、必ず内見前に確認しておきましょう。
エアコン購入・設置にかかる費用の目安
エアコンなし物件に自分でエアコンを設置する場合、費用はすべて借主(入居者)の負担が基本です。エアコン本体の購入費用と工事費用を合わせた総額を事前に把握しておきましょう。
- エアコン本体(6〜8畳向け スタンダードモデル):約4〜7万円
- 標準取り付け工事費:約1〜3万円
- 合計の目安:5〜10万円程度(部屋の広さや機種によって変動)
- 追加工事が発生する場合:配管延長・化粧カバー・電圧変換などで+1〜3万円
家電量販店での「本体+標準工事費込み」のセット価格は一見わかりやすいですが、設置環境によって追加工事費が発生することも多いです。購入前に業者に現地調査を依頼し、追加費用の有無を確認しておくことをおすすめします。
2027年問題でエアコンはさらに値上がりする可能性がある
エアコンの購入を検討している方が知っておくべきなのが、2027年4月から適用される新省エネ基準(いわゆる「エアコン2027年問題」)です。経済産業省が省エネ法に基づいてエアコンの省エネ性能基準を大幅に引き上げることにより、現行の低価格帯・スタンダードモデルの多くが基準を満たせなくなり、製造・販売できなくなる可能性があります。
具体的には、冷房能力2.2kW(6畳用)の壁掛形エアコンでは、現行のAPF(通年エネルギー消費効率)5.8から6.6へと14〜35%の効率改善が求められます。これにより、「安くてシンプルなモデル」が市場からなくなり、エアコン本体の価格が数万円単位で上昇するとの見方があります。
- 2027年4月以降、新省エネ基準を満たさないエアコンはメーカーが製造・出荷できなくなる(壁掛形が対象。2029年度にはその他の形状も対象に)
- 現行の低価格帯スタンダードモデルの多くが対象となり、市場から姿を消す可能性がある
- 2027年以前に購入・設置すれば現行価格で済むが、2027年以降は価格が大幅に上がる可能性がある
- また、旧冷媒(R410Aなど)はフロン排出抑制法による規制で入手が難しくなり、古い機種の修理費用が高騰する恐れもある
エアコンなし物件に入居して自分でエアコンを購入する場合、2027年4月の基準適用前に購入・設置を済ませる方が、本体価格の面では有利になる可能性があります。ただし、規制後に流通する機種は省エネ性能が高いため、長期的な電気代の削減効果も考慮したうえで判断しましょう。
貸主負担での設置交渉ができる場合もある
「エアコンを自分で買うのは負担が大きい」と感じる場合、貸主に対してエアコンの設置を条件に交渉することも選択肢の一つです。特に空室期間が長い物件や、競合物件が多いエリアでは、交渉が成立するケースもあります。
ただし、これはあくまで交渉次第であり、貸主が拒否すれば費用は入居者負担になります。交渉する場合は内見・申込の段階で早めに仲介会社を通じて打診するのが効果的です。
エアコン設置工事のタイミングに要注意
工事は契約開始日以降にしか行えない
賃貸物件へのエアコン設置工事は、原則として賃貸借契約が開始された日(鍵の引き渡し日)以降に行うものです。ただし、貸主の許可を事前に得られれば、契約開始日前の工事が認められるケースもあります。いずれにせよ、必ず貸主・管理会社への事前確認と許可取得が前提となります。
つまり「入居後にエアコンを買って設置する」という流れになりますが、ここで問題になるのが繁忙期の工事待ちです。
夏場は1か月待ちになることも
エアコン設置工事の繁忙期は7〜8月(夏)と3〜4月(引越しシーズン)です。この時期は工事業者に依頼が殺到し、設置まで1週間〜1か月待ちになるケースも珍しくありません。「夏前に引越してエアコンを注文したら、設置工事が8月中旬になってしまった」という事態も十分起こりえます。
エアコンなし物件に入居する場合は、できるだけ春(4〜5月)や秋(10〜11月)の引越しを選び、工事を繁忙期前に完了させるのが理想です。夏・引越しシーズンと重なる場合は、入居と同時にすぐ予約を入れる必要があります。
退去時のエアコン取り扱い|撤去か残置か
自分で設置したエアコンは、退去時に原則として自分で取り外して持ち出す必要があります。「付けたままにしていけないの?」と思う方もいるかもしれませんが、入居者が設置した設備は入居者の所有物であり、原状回復の観点から撤去が基本です。
残置(置いていく)には貸主の許可が必要
退去時にエアコンを残していきたい場合は、貸主の事前許可が必要です。貸主が許可した場合は「残置物」として次の入居者が利用できますが、その場合は贈与となるため、費用の補填を受けることは基本的にできません。許可なく置いていった場合は、原状回復費用として撤去費用を請求される可能性があります。
- 退去が決まったら、まず貸主・管理会社にエアコンの取り扱いを確認する
- 撤去する場合:取り外し工事費用(1万円前後)が必要。家電量販店や工事業者に依頼
- 残置する場合:貸主の書面による許可を取得し、合意内容を明確にしておく
- 廃棄する場合:家電リサイクル法に基づき、リサイクル料(1,000円前後)の支払いが必要
隠蔽配管の物件は特に要注意
マンションの中には、エアコンの配管が壁の内部に埋め込まれた「隠蔽(いんぺい)配管」の物件があります。見た目がすっきりするため採用されることがありますが、賃貸物件においては複数のデメリットがあります。
| 項目 | 隠蔽配管のデメリット |
|---|---|
| 工事業者が限られる | 対応できる業者が少なく、家電量販店の標準工事では断られることが多い |
| 費用が高い | 通常の露出配管より工事費が高く、追加費用が発生しやすい |
| 対応機種が制限される | 加湿・換気・特殊お掃除機能付き機種は設置できないことがある |
| メンテナンスが困難 | 配管が壁内にあるため、劣化・カビ・故障時の点検・修理に時間と費用がかかる |
| 冷暖房効率の低下 | 配管が長くなるため冷媒ガスの循環効率が下がり、電気代が増える可能性がある |
隠蔽配管の物件にエアコンを設置する場合は、事前に業者に現地確認を依頼し、対応可能かどうかと費用の見積もりを取ることが必須です。「標準工事費込み」と書いてある家電量販店のセットプランでは対応できないことが多く注意が必要です。
エアコンなし物件が向いているケース・向かないケース
エアコンなし物件はデメリットばかりではありません。状況によっては合理的な選択になることもあります。
エアコンなし物件のメリット
エアコンなし物件の最大のメリットは、自分が選んだメーカー・機種のエアコンを設置できる点です。「省エネ性能の高い上位モデルを使いたい」「特定のメーカーが好き」「空気清浄機能付きが欲しい」など、自分の好みに合った機種を選べます。設置済みのエアコンは機種が古い・機能が限られているケースも多く、最新機種を使いたい方には不満が出ることもあります。
また、家賃が同エリアの相場よりやや低く設定されていることも多く、設置費用を加味しても長期入居ではトータルコストが安くなる場合もあります。
こんな場合はエアコンなし物件を避けるべき
- 1K・ワンルームでエアコンなし:命に関わるリスクがあるうえ、エアコン設置費用を入居者に負担させようとするオーナーの物件は、入居後も設備対応でもめるリスクがある
- 設置不可の構造:配管穴なし・専用コンセントなし・室外機置場なしで設置できない場合
- 夏(7〜9月)に引越す予定:入居してすぐ工事ができず、繁忙期に1か月以上待つリスクがある
- 高齢者・乳幼児・ペットがいる:熱中症リスクが特に高く、エアコン稼働を前提にした入居が必須
- 短期入居予定:設置・撤去費用を考えると、コストの回収ができない可能性がある
よくある質問
まとめ:エアコンなし物件を検討するときの確認ポイント
- 名古屋の夏(最高気温39℃超)はエアコンなしでの生活が熱中症リスクに直結する。1K・ワンルームでのエアコンなしは避けるべき
- 内見時は「配管穴・専用コンセント・電圧・室外機スペース・貸主の許可」の5点を必ず確認する
- 「エアコンなし」表記なのに室内に設置されている場合は残置物の可能性が高い。故障時の保証はない
- 設置費用(本体+工事)の目安は5〜10万円程度。すべて入居者負担が基本
- 2027年4月から新省エネ基準が適用され、低価格帯のエアコンが市場から消える可能性がある。購入するなら早めの検討も選択肢
- 工事は契約開始日以降にしか行えない。夏の繁忙期は1か月待ちになることも
- 隠蔽配管の物件は工事業者が限られ、費用も高くなる。対応機種にも制限がある
- 退去時は原則撤去。残置する場合は貸主の書面による許可が必要
- 自分でエアコンを選べるのがメリット。省エネ・高機能モデルを選びたい人には向いている
- 貸主へのエアコン設置交渉は内見・申込の段階で早めに行うのが効果的
