賃貸物件を探していると、「保証会社利用必須」という条件をほぼすべての物件で目にします。しかし、保証会社が具体的に何をしてくれる会社なのか、なぜ加入が必要なのかを正確に理解している方は多くありません。
私の経験上、「保証会社は連帯保証人の代わりに家賃を払ってくれるサービス」だと誤解されているケースが少なくありません。この記事では、賃貸保証会社の仕組みと、加入が必要とされる理由について、不動産仲介の実務経験をもとに解説します。保証料の金額や種類については別記事で詳しく解説していますので、費用面が知りたい方はそちらもあわせてご覧ください。

最終更新日:2026年7月12日
賃貸保証会社とは
賃貸保証会社とは、入居者が家賃などを滞納した際に、入居者に代わって貸主へ立替払いを行う会社です。正式には「家賃債務保証業者」といい、「家賃保証会社」と呼ばれることもあります。
保証会社は、入居者の代わりに家賃を負担してくれる会社ではありません。保証会社が立て替えた金額は、後から入居者が保証会社へ返済する義務があります。この点を「保険」と同じ感覚で捉えてしまうと、滞納後の請求に驚くことになるため、最初に理解しておくべきポイントです。
保証会社の業務は立て替え払いだけでなく、入居申込時の審査、反社会的勢力との関係確認なども含まれます。
賃貸保証会社は何社くらいあるのか
国土交通省の「家賃債務保証業者登録制度」に登録されている事業者数は、123者(2026年3月31日時点)です。ただしこの登録制度はあくまで任意の制度であり、登録をしなくても家賃債務保証業を営むこと自体は可能です。そのため、実際に賃貸市場で稼働している保証会社の数は、登録事業者数よりも多いと考えられます。
どのような会社が保証会社を運営しているのか
保証会社の運営母体は、大きく分けると次のような系統があります。
- クレジットカード会社系:信販会社が母体で、クレジットカードの信用情報をもとに審査を行う
- 不動産会社・賃貸管理会社系:不動産会社や管理会社のグループ会社として保証業務を専門に行う
- 独立系:特定の信販会社の系列に属さず、独自の審査基準で保証業務を専門に行う
物件によって提携している保証会社の系統が異なるため、入居審査の基準や保証料の設定も物件ごとに変わります。
保証会社は入居者側で選べるのか
賃貸保証会社は、入居者が自由に選べるものではありません。貸主や管理会社があらかじめ提携している保証会社を利用する仕組みになっており、1社のみ指定されている物件では、その保証会社以外を選ぶことはできません。
中には複数の保証会社と提携しており、入居者側である程度選択できる管理会社もありますが、実務上は少数派です。多くの物件では、募集条件として指定された保証会社の審査を受ける流れになります。
賃貸保証会社の仕組み
賃貸保証会社を利用する契約では、一般的には次の4段階でお金の流れが進みます。保証会社や商品によって細部の運用が異なる場合はありますが、基本的な流れは共通しています。
1
入居者が貸主と賃貸借契約を結び、あわせて保証会社と保証委託契約を結ぶ
2
入居者が保証会社へ保証料を支払う
3
家賃滞納が発生した場合、保証会社が貸主へ立替払いを行う
4
保証会社が入居者へ立替金を請求する
保証対象は家賃だけに限らず、契約内容によって共益費や更新料、原状回復費用、違約金などが含まれる場合があります。ただし保証範囲は保証会社ごとの商品によって異なるため、「どの保証会社でも同じ範囲まで保証される」わけではなく、契約時に保証委託契約書で確認することが重要です。
なぜ賃貸保証会社への加入が必要なのか
賃貸保証会社の利用が広く普及している背景には、次のような理由があります。
貸主の家賃滞納リスクを減らすため
個人の連帯保証人に比べ、保証会社の方が滞納発生時の立替払いの手続きが明確です。貸主にとっては、家賃収入が途切れるリスクを抑えられる仕組みとして定着しています。また、保証会社の利用によって貸主側のリスクが下がることで、敷金の減額や、連帯保証人不要といった入居者側にとって有利な募集条件を提示しやすくなるというメリットもあります。
借主にとっても連帯保証人を頼む手間がなくなる
連帯保証人を用意できる方であっても、実際に親族へ依頼するとなると、署名・実印・印鑑証明書の準備などの手続きや、心理的な負担が発生します。保証会社を利用すれば、こうした手間や気兼ねなく契約を進められる点は、借主側にとってのメリットです。
連帯保証人を用意できない人が増えているため
親族の高齢化や単身世帯の増加、家族関係の変化などにより、連帯保証人を依頼できない入居希望者が増えています。保証会社を利用すれば、連帯保証人を立てられない方でも契約できる物件が増えるため、保証会社が普及した背景の一つとして、入居者・保証人双方の高齢化が挙げられます。
管理会社の審査・督促業務を効率化するため
入居審査の一次判断や、家賃滞納時の督促連絡・立替払い・回収などの実務を保証会社が担当するため、管理会社は自社で審査や督促の体制を持たなくても入居者対応を進められます。特に督促業務は、入居者との関係が悪化しやすく手間もかかる業務のため、保証会社に任せられることは管理会社にとって大きな負担軽減になります。
このように、賃貸保証会社の普及は借主側のメリットだけでなく、滞納リスクの軽減や審査・督促業務の効率化という、貸主・管理会社側にとってのメリットが大きいことが後押ししています。
貸主や管理会社の募集条件だから
実務上、最も直接的な理由がこれです。法律によってすべての賃貸契約に保証会社の利用が義務付けられているわけではありません。しかし、貸主や管理会社が募集条件として保証会社への加入を定めている場合、入居者側がそれを断って契約することは基本的にできません。
「保証会社は法律で義務付けられている」という説明は正確ではありません。あくまで貸主・管理会社が設定する募集条件として、加入が事実上必須になっているのが実情です。
賃貸物件の管理会社とは。違いや良い管理会社の見分け方を不動産会社が解説
連帯保証人がいても賃貸保証会社への加入は必要か
結論として、連帯保証人を用意できる場合でも、貸主や管理会社が保証会社の利用を募集条件としている物件では、保証会社への加入が必要です。連帯保証人がいることは、保証会社の利用が免除される理由にはなりません。
理由としては、次のような点が挙げられます。
- 保証会社の方が、滞納発生時の立替手続きが早く進む
- 連帯保証人の支払能力が、将来にわたって続くとは限らない
- 連帯保証人と連絡が取れなくなる可能性がある
- 管理会社が保証会社の利用を前提に家賃管理の体制を組んでいる
- 保証会社と連帯保証人とでは、保証する範囲が契約ごとに異なる場合がある
物件によっては、保証会社と連帯保証人の両方を求められることもあります。この場合、「保証会社は家賃だけ、連帯保証人は生活上のトラブルだけを担当する」というように明確に役割が分かれているとは限りません。実際の責任範囲は契約書の内容によって異なるため、両方が必要な物件では契約時に保証範囲を確認することをおすすめします。
個人契約と法人契約での違い
保証会社への加入が必須かどうかは、個人契約か法人契約かによっても変わります。
「保証会社は外せないのか」というご質問を、お客様からよくいただきます。私の経験上、個人契約の場合は基本的に外すことができません。マチラボが取り扱う物件のうち、個人契約では99%が保証会社の利用を必須としています。
一方、法人契約の場合は状況が異なります。企業の信用力が高い場合(上場企業や一定規模以上の企業など)は、保証会社なしで契約できることが一般的です。ただし、法人契約であっても保証会社の利用が条件となっている物件もあるため、実際の条件は物件ごとの確認が必要です。
まとめ
- 賃貸保証会社は家賃を代わりに負担する会社ではなく、滞納時に立替払いを行い、後から入居者へ請求する仕組み
- 国土交通省の登録事業者数は123者(2026年3月31日時点)だが、登録は任意のため実際の会社数はこれより多いと考えられる
- 運営母体はクレジットカード会社系・不動産会社/管理会社系・独立系などに分かれる
- お金の流れは、一般的には「保証委託契約→保証料の支払い→滞納時の立替→入居者への請求」の4段階
- 借主の手間軽減だけでなく、貸主のリスク軽減・敷金減額などの条件緩和、管理会社の審査・督促業務の効率化という、貸主・管理会社側のメリットが大きいことが普及の背景
- 保証会社の利用は法律上の義務ではなく、貸主・管理会社が設定する募集条件である
- 連帯保証人がいても、募集条件であれば保証会社への加入は必要
- 個人契約では基本的に外せないが、法人契約では企業規模によって不要になる場合がある
